みなさま

 

もうすぐ 2022 サッカーワールドカップ・カタール大会が始まりますね!

タイムリーな宮川友子さんの『ポーランド広告塔百景』が届きました。

 

お楽しみください。(山田)

「ヘンリク・トマシェフスキ個展」

Henryk Tomaszewski

1999, 98x68cm

ヴィエスワフ・ロソハ

 

Wiesław Rosocha (1945-2020)

 ロソハのポスターの特徴は黒い闇に溶ける人物だ。横顔のシルエットをモチーフにする場合も多く、切り取られたような、「図」と「地」がどちらかわからなくなりそうな組み合わせがシュールレアリスム的なのだが、このポスターではその特徴を抑え、闇というよりは光を描いている。1999年に描かれたこのポスターはポーランドポスターの父であり世界中の多くのデザイナーに尊敬されているヘンリク・トマシェフスキの個展の告知だ。母校ワルシャワ美術アカデミーの恩師でもある。
 トマシェフスキのくっきりと澄んだ瞳や、わざとかというほどふさふさ描かれている太い眉毛、また肌の見えている部分は外見的特徴をよくとらえている。それでも黒縁メガネで空間を上下に区切っている所や、スキンヘッドの頭の形を避けて光線が描かれている所、右下の肩あたりには闇がのぞいている所は、やはり一目で彼の作品とわかる表現である。
 日本でもとても評価されており、様々な賞をとったり展覧会に参加したりしていた。ワルシャワ国際ポスタービエンナーレのオープニングで会った時は、多くのデザイナーにまぎれ、ふらりと立っており、話しかけると気さくに撮影に応じてくれ、優しい柔らかい人という印象だ。

企画/山田信子(日本国際ポスター美術館ディレクター)

テキスト・ポーランド広告塔百景/宮川友子(グラフィックデザイナー、岐阜市立女子短期大学講師)