突然のメールで失礼いたします。
この度、ポスターをもっと身近に、そしてわかりやすくという「ポスターシティ大垣」をモットーにメールマガジンを企画しました。
当館の所蔵する世界を代表するポスターを、毎月一回のペースでご紹介していきます。
まずポスター王国、ポーランドからスタートしますので、ご覧いただけましたら幸いです。

JIMI HENDRIX(1974,97.5×66.9cm)

 

ヴァルデマル・シヴィエジ Waldemar Swierzy1931-2013
シヴィエジさんの「Jazz Greats」シリーズ

ジミヘンといえばロックのイメージが強いが、このポスターのクライアントは「ポーランド・ジャズ協会」であり(注1)、彼によるレイチャールズ、マイルスデイビスなど「ジャズ演奏者の肖像画を用いたポスターシリーズJazz Greats http://www.poster.com.pl/swierzy-5.htm」のうちの1枚のようである。
彼は、生涯1500枚以上のポスターを制作し、その多くで人の顔が画面の大部分を占める「肖像画」のようなスタイルをとった。上記の他にもマリリンモンローやショパン、スイスのデザイナーニクラウス・トロクスラーなど実在の人物や、動物、架空の人物までいろいろある。
waldemar swierzy plakaty」でGoogle画像検索→ https://bit.ly/3txrBOc
1
1つが特徴や表情を鮮やかにとらえている中で、彼独自の表現といえば、動きのある「線」をさらにふちどっていることである。様々な色や太さの線は、それぞれ強調されて揺れている。またハイライトの表現も独特で、滲んだように大きめに描かれているからなのか、光って見える。このジミヘンのポスターもそうだ。
人の顔は人の目を強く惹きつける。当時、街に貼られた彼のポスターを見た人は、踊る線や色、視線や表情に釘付けになったのではないだろうか。
2006
年、生まれて初めての外国旅行で恐る恐るワルシャワ国際ポスタービエンナーレを訪問した時、シヴィエジさんに会うことができた。1500枚以上もポスターを作ったポーランドポスターの歴史上重要な人物なのに、普段着で普通のおじいちゃん、という感じでほのぼのした気持ちになったのを覚えている。娘のドロータさんは日本語が堪能でとてもお世話になった。
シヴィエジさんはどんな感じでポスターを描いていたのかと想像するが、きっとジャズを聴きながらだと思う。

1:「神奈川県立近代美術館所蔵 ポーランド・ポスターの光彩」(2019p.121

企画/山田信子(日本国際ポスター美術館ディレクター)
テキスト・ポーランド広告塔百景/宮川友子(グラフィックデザイナー、大垣女子短期大学講師)

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