みなさま

 

あっという間に梅雨が明け、厳しい暑さが続きます。

 

あっと驚くこのポスター、しばし、暑さを吹き飛ばしてください。

Annual Academy of Fine Arts Exhibition(美術アカデミー年度末展)2008, 70x100cm

 

ピョートル・クンツェPiotr Kunce(1947-)

私は200869日にクラクフで、この大きなポスターが広告塔に貼ってあるのを見た。見た瞬間、迫力に圧倒されて、切り抜かれた穴から覗く大きくて近寄った目の大胆なレイアウトにドキッとした。近づくと「Piotr Kunce」と右下にサインがあり、日本国際ポスター美術館で見たことがある作家のものだとわかった。

ポスターの内容は「クラクフ美術アカデミー年度末展」で、上部の白い文字は日付と卒展や建築やインテリア、グラフィック、美術、彫刻などのコースと場所が告知されている。クンツェは数年前までここの教授で、自身もここで学んだ(注1

彼のポスターの特徴は写真を使った大胆なモンタージュである。彼の好む不条理な世界観を、モチーフを大きく扱い表現している。ポスター展をめぐる旅の中で、私は数回、彼と顔を合わせたことがある。彼は大柄で好奇心にあふれ、ふわっとやさしい印象だった。当館の展覧会にも積極的に参加してくれていて、大変ありがたいことだと思っている。

当時は、旅先でポーランド語を調べようがなかった。前日までにここにたどり着き、意味が分かっていたら、この展覧会を見ていたかもしれない。少し悔しい。

1http://piotrkunce.eurotone.eu/ より

企画/山田信子(日本国際ポスター美術館ディレクター)

テキスト・ポーランド広告塔百景/宮川友子(グラフィックデザイナー、大垣女子短期大学講師)