みなさま

涼やかな虫の声が聞こえはじめましたが、

月を愛でる好季節には、まだ少し遠いようです。

 

ときにはゆっくり演劇など、楽しみたいですね!  (山田)

7th International Biennale of Theatre Poster

「第7回国際演劇ポスタービエンナーレ」

199967 x 98 cm

レフ・マイェフスキ

 

 Lech Majewski (1947)

 このポスターは、ポーランド南東部、ジェシュフという都市の、とある劇場が主催する「国際演劇ポスタービエンナーレ」のポスター、第7回(1999年)のものだ。さまざまな国の演劇ポスターが個性を競う展覧会である。
 マイェフスキ氏は、私が3度ワルシャワ国際ポスタービエンナーレのオープニングに参加した時にいつも会えたので印象深い。大きくて明るくまっすぐな印象。いつでも、気軽にいい笑顔で写真に写ってくれた。そうやってビエンナーレの主催者はもちろん、審査員、ワルシャワ美術アカデミーの教授など大活躍である。2012年には、同じアカデミーの教員のブシェヴィッチ氏、ワシレフスキ氏との3人展と、カフェでの個展もあって、たくさん作品を見ることができた。

 

 彼の近年の作風は「切り絵」調でかわいい。素朴でシンプルな形で個性的な絵や文字を作り、フレークをパラパラと撒いたようにレイアウト(構成)し、色は鮮やかでカラフル。Facebookではいつも新しい作品がどんどん増えていく。
 しかしそんな彼も1990年代まではいわゆる「ポーランドらしい」手描きの描写を生かしたポスターを作っていた。その時代の作品は色もモノトーンで渋い感じのものが多い。90年代の後半になると、ガラッと今のような作風に変えていったのは、デザインをとりまく技術や環境と深く関わっていると思われる。それはポーランドのデザインをリードする彼だけでなく、ポーランドポスター全般が同様に様式を変えていった。彼はそれをまさに体現しているように見える。

企画/山田信子(日本国際ポスター美術館ディレクター)

 

テキスト・ポーランド広告塔百景/宮川友子(グラフィックデザイナー、大垣女子短期大学講師)